8.脱毛施術スタート

彩花が通うことを決めたクリニックの初回施術日。
平日の仕事帰り、緊張と少しのワクワクを抱えながら彩花は院の扉をくぐった。
受付を済ませると、「カウンセリングのときと同じ部屋にご案内しますね」とスタッフが微笑んでくれる。
いつもなら退勤後の疲れがどっと押し寄せる時間帯だが、今日はむしろ背筋がしゃんと伸びる気がした。

 

初回施術の体験と痛みへの対策

施術室に入ると、まず看護師が彩花の肌の状態を再チェック。
「前回のカウンセリング時と比べて、日焼けや肌荒れはないですね。大丈夫ですよ」と確認をとったうえで、
施術部位を再度確認していく。

「それでは、始めていきますね」と言われた瞬間、彩花はやっぱり少しドキッとしてしまう。
医療脱毛は痛みがあるという噂を何度も耳にしてきたからだ。
しかし、今回施術を担当する看護師は「もし痛みが強いようでしたら、お声がけくださいね」と優しく声をかけ、痛みを感じやすい部位には専用の冷却ジェルをしっかり塗ってくれた。

「ここ、ちょっとパチンとくるかもしれません」という合図と同時に、レーザーが照射される。
彩花が身構えていると、たしかにゴムで軽く弾かれたような刺激があった。
ただ、想像していたほどの強烈な痛みではなく、「チクッ」とした小さな衝撃を感じる程度で済む。

部位によっては若干痛みの度合いが異なり、脇やビキニラインなど毛が太い部分はやや強めに感じることもあったが、
看護師がそのたびに「大丈夫ですか?」と声をかけて、冷却や照射のペースを調節してくれるので安心だった。

「最初は緊張しましたけど、意外と大丈夫でした!」
施術が終わるころには、彩花はほっとした表情で看護師にそう伝えていた。

 

回数を重ねるごとに感じる効果

初回施術のあとは、1か月ほど期間をあけて次回の施術を受けることになる。
医療脱毛は毛周期に合わせて通う必要があり、1回ごとに徐々に毛量が減っていくイメージだ。
毛が生え変わるタイミングを逃さずにレーザーを照射することで、より効果を高めることができるという。

2回目、3回目と回数を重ねるうちに、彩花は「なんだか自己処理の頻度が減ってきたかも」と変化を感じ始めた。
特に脇や腕などの目立ちやすい部位で、毛が生えるスピードが遅くなったり、毛質自体が細くなったりしているのが分かるのだ。

「まだ完全にはなくなってないけど、ここまで効果を感じられるなら続ける価値があるな」
そう思うころには、施術前ほどムダ毛の処理に神経質にならずに済むようになっており、心の負担は確実に軽くなっていた。

 

施術後のケアと肌の変化

とはいえ、医療脱毛はレーザーで毛根に強いエネルギーを当てるため、肌には少なからず刺激が加わる。
施術直後は肌が乾燥しやすくなったり、軽い赤みが出たりすることもある。

クリニックからは「施術後はしっかりと保湿ケアをしてくださいね」と指示があり、彩花も自分の肌質に合うローションやクリームを念入りに塗るようになった。
お風呂上がりや寝る前など、意識的にスキンケアの時間をとるようになったことで、肌自体がしっとり潤うようになり、「肌がきれいになった」と実感することも増えた。

また、医療脱毛を始めると、自己処理の回数が減るため、カミソリ負けや埋没毛、黒ずみなどの悩みも徐々に改善していく。
彩花は、これまで抱えていた肌トラブルが改善されるだけでも「脱毛してよかった」と思うようになった。

 

こうして施術を重ねるたびに、彩花のムダ毛へのストレスは確実に減っていった。
初回の緊張や痛みに対する不安も、スタッフの丁寧な対応や冷却・麻酔ケアのおかげで大きな問題にはならず、
むしろ「最終的にムダ毛がほぼなくなるんだったら、この程度の痛みは全然耐えられる」と感じられるようになっていた。

さらに、保湿ケアや紫外線対策をしっかりするようになった結果、肌質そのものが以前よりも整い始めたことも大きい。
デートの前に慌てる時間が減り、ファッションの幅も広がっていく。

「こんなに気持ちが楽になるなら、もっと早く医療脱毛を始めればよかったかも……」
そう思うたび、彩花は自分が下した選択を誇らしく感じるのだった。

 

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