4.医療脱毛との出会い

情報を求めれば求めるほど「何を選んだらいいのか分からない」という混乱に陥っていた彩花だったが、ある日、同僚の女性との何気ない会話をきっかけに新しい道が開けた。

その同僚は彩花より少し年上の先輩で、普段から仕事のできる頼れる存在だ。

「実は私、医療脱毛に通ってたの。最近やっと完了してね、ムダ毛の悩みがほぼ解消されたんだよ」

先輩がそう切り出した瞬間、彩花の頭にピンと何かが走った。

今まで脱毛サロンや家庭用脱毛器の情報は山ほど目にしてきたのに、なぜか医療脱毛についてはほとんど意識したことがなかったからだ。

 

医療脱毛と聞いてまず連想したのは、「費用が高い」「痛そう」というイメージ。

なんとなくハードルが高い印象があったため、最初から選択肢に入れていなかったのだ。

しかし、先輩が続けた言葉は、そんな彩花の先入観を大きく覆すものだった。

「私もサロンで部分脱毛したことがあったんだけど、効果を実感するまで時間がかかってね。思い切って医療脱毛に切り替えたら、最終的にはこっちのほうが早く終わったし、結果的にはトータルコストもあまり変わらなかったんだよ」

 

サロン脱毛と医療脱毛の違いは、ざっくり言えば使用する機械の種類や施術できる範囲、そして施術を行う資格者の有無だという。

エステやサロンで行われるのは、医師免許を必要としない光脱毛(フラッシュ脱毛)が主流。

これは比較的弱い光を使って毛根にダメージを与えるため、一度に与えられる刺激が少なく、痛みが少ないというメリットがある。

しかしその分、通う回数が多くなりがちで、完了するまでに長期間を要するケースが多いとのこと。

 

一方の医療脱毛は、医療機関(クリニック)が医療用のレーザーを使用し、毛根や毛母細胞に強いエネルギーを照射することで脱毛効果を狙う。

火傷などのリスクを伴うため、医師や看護師といった医療資格者が施術を行うか、もしくは監督のもとで行われる。

医療用レーザーの出力は高く、毛そのものが再生しにくくなるため、少ない回数で高い効果を期待できるというのが大きな特徴だった。

 

もちろんデメリットもある。

医療脱毛は高出力のレーザーを使う分、痛みを強く感じる人もいる。

また、保険適用外の自由診療であるため、サロンと比べて費用が高い場合が多い。

しかし、先輩いわく「痛み対策として麻酔クリームを使えるクリニックもあるし、肌トラブルがあっても医師がすぐに対応してくれるから安心」とのことだった。

 

この話を聞いた彩花は、「医療脱毛って思ったよりも現実的な選択肢かもしれない」と考え始める。

サロンよりも費用はかさむかもしれないが、トータルの施術回数が少なく済むなら、時間や手間の面で大きくメリットがある。

自己処理による肌荒れにずっと悩み続けるよりは、思い切って短期間でケアを終わらせたほうが、長い目で見ればコスパが良いのではないだろうか。

 

そこで彩花は、先輩から詳しい話を聞くことにした。

先輩は通っていたクリニックのパンフレットや料金プランを見せてくれ、「最初のカウンセリングで丁寧に説明してもらえたし、契約を無理に迫られることもなかったよ」と教えてくれた。

実際に医療脱毛を受けた人の生の声ほど、信頼できる情報はない。

SNSや口コミサイトには広告やステルスマーケティングらしきものが多かったが、先輩の言葉は何よりも説得力があった。

 

そして彩花は、自分でもネットで「医療脱毛のメリット・デメリット」について改めて調べてみる。

料金だけを見るとサロンのほうが安そうに見えるが、長期的にサロンに通う費用や、家庭用脱毛器のランニングコストなどを考慮すると、必ずしも医療脱毛が一番高くつくとも限らないようだ。

さらに医療機関なら肌トラブルが起きても診察や薬の処方を受けられるため、自分のように肌が弱いタイプには大きな安心材料になる。

 

「これなら、今までの悩みを根本から解決できるかもしれない」

彩花は、医療脱毛が自分に合っていると次第に確信を深めていった。

確かに費用や痛みの問題は気になるが、カウンセリングで相談すれば対策やプランを提案してもらえるはず。

ムダ毛のストレスから解放されるチャンスを見逃す手はない。

 

今まで感じていた漠然とした不安が、「サロンか医療脱毛か」と悩む気持ちが、「この際、医療脱毛に挑戦してみよう」という強い決意へと変わった瞬間だった。

彩花は意を決し、次のステップへと踏み出していくのだった。

 

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