3.脱毛方法の模索

彼氏との交際が始まってからというもの、彩花にとってムダ毛ケアはますます大きな悩みの種になっていた。
「いつも綺麗でいたい」「彼に幻滅されたくない」という思いと、「このまま自己処理を続けるのは限界がある」という考えが交錯し、彩花はどうにかしてムダ毛を根本的に解決できないかと真剣に考え始める。

 

まず頭に浮かんだのは、美容系のサイトやSNSでよく目にする脱毛サロンや家庭用脱毛器の情報だった。
彩花は以前から友人が「サロン通いって結構お得だよ」「家庭用の機械でも結構効果があるよ」と言っていたのを思い出し、自分でも調べてみることにした。
しかし、いざ情報収集を始めてみると、あまりにもたくさんの選択肢と広告が氾濫していて、何を信じればいいのかわからなくなる。

 

脱毛サロンの特徴としては、比較的リーズナブルな料金プランを打ち出しているところが多い。
「全身脱毛が月々◯千円から」などのキャッチコピーも魅力的に映る。
施術自体は痛みが少ないと評判だし、エステ感覚でリラックスできるという口コミも見受けられる。
ただ一方で、「効果が出るまでに回数が多く必要」「医療機関ではないので、万が一の肌トラブルに備えて不安」という声もある。
しかも、意外と勧誘が多いというレビューを見ると、本当に大丈夫かなと心配にもなる。

 

家庭用脱毛器は、ネットショッピングサイトなどで手軽に購入できるうえ、自宅で好きなタイミングにケアできるのが大きなメリット。
忙しい彩花にとって「自宅でできる」という自由度はとても魅力的だ。
しかし、「照射パワーが弱くて効果が出にくい」「続ける根気が必要」という声や、「高性能な機種はかなり高価になる」という現実もある。
何より、自分一人で使いこなせるのか、肌トラブルが起きたときにどう対処すればいいのかという不安も拭えない。

 

もちろん、今まで続けてきた自己処理を継続するという選択肢もある。
だが、それがすでに彩花を追い詰めている最大の原因だ。
カミソリでの剃毛や毛抜きによる処理は、肌荒れや埋没毛といった問題を繰り返すだけで、しかも定期的なケアが必要になり精神的なストレスが大きい。
「一時しのぎ」にはなるかもしれないが、長い目で見て根本的な解決には程遠い。

 

こうして彩花は、サロン・家庭用脱毛器・自己処理のメリットとデメリットを整理してみたものの、決め手に欠けてなかなか答えを出せずにいた。
さらに、費用面も頭が痛い問題だ。
サロンで全身脱毛のコースを契約すれば、数十万円単位での支払いになる可能性があるし、家庭用脱毛器の中にも数万円以上する高額な機種が存在する。
どの方法にしても、彩花のように家計をやりくりする社会人2年目には簡単には手が出せない金額ばかり。
「時間がかかってもいいから費用を抑えたいのか、多少お金をかけてもいいから早く効果を得たいのか」——その基準すらはっきりとは決められないでいた。

 

それでも「情報さえ集めれば、どこかに自分にピッタリの解決策があるはず」と考え、彩花は休みの日や仕事の合間を縫って、SNSや口コミサイトを丹念にチェックし始める。
ところが、ここでも思わぬ壁にぶつかった。
宣伝のような投稿がやたらと目につき、「ステルスマーケティングなんじゃないか」と疑いたくなるようなケースが多いのだ。
SNSで人気のインフルエンサーが、「このサロン最高!」「この家庭用脱毛器ならもうサロン不要!」と絶賛しているが、よく見るとリンク先は公式サイトにつながっていたり、割引コードが付いていたり……。

 

「みんな営利目的で商品や店舗を紹介しているだけなんじゃないの?」
そんな疑いが頭をよぎると、どんな口コミも疑わしく思えてくる。
一方で、「いや、もしかしたら本当に良い商品なのかもしれない」と考え直そうとするものの、「じゃあ他の口コミの情報はどうなの?」「どれくらいの人が本当に効果を実感しているの?」と、不信感は消えない。

 

いくらサイトのレビューを読んでも、賛否両論が渦巻いていて真実が見えない。
広告記事だとわかりやすい場合もあるが、中にはユーザーの本音を装っている広告も混ざっており、ますます判断が難しくなる。

 

結局のところ、費用や効果、通う手間、そしてトラブル対応や実際の施術感覚など、自分が気になるポイントをしっかり押さえて判断する必要があるのだと痛感する彩花。
しかし、それらをすべてクリアにしてくれる情報はなかなか見つからない。

 

「なにかいい方法はないかな……」と考え込む夜。
スマホを握りしめたまま、美容情報をひたすらスクロールする彩花の目は少し疲れているようにも見える。
それでも、どうにか自分に合った最適な脱毛方法を見つけたい一心で、今日もまた検索の手を止められないのだった。

 

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