1.プロローグ:ムダ毛への悩み
宮本彩花、24歳。
社会人2年目を迎えた彼女は、都内の中小企業で事務職として働いている。
受付や総務を兼ねた仕事は忙しいときもあるが、上司や先輩に恵まれ、楽しく充実した日々を送っていた。
地方から上京してきた彩花は、一人暮らしの部屋を自分好みに飾り、友人たちとの休日のランチやショッピングを心の支えにしている。
そんな彩花にも、誰にも言えない密かな悩みがあった。
それは、「ムダ毛」の処理。
高校生の頃から腕や脚の毛を気にし始め、いつしか定期的にカミソリで剃るのが習慣になっていた。
しかし、社会人になって働き始めてみると、慣れない生活リズムや残業が重なり、ムダ毛の自己処理が思うようにできないときが増えてきた。
ある朝、彩花は出勤前の慌ただしい時間に、ふと袖口から見える腕の毛が伸びているのに気づく。
前日までは大丈夫だったはずなのに、うっかり処理を忘れていたらしい。
「やばい、こんな状態で会社に行けない…」
焦ったものの、もう出発まで時間がない。
やむなく長袖のカーディガンを引っ張り出して着込み、汗ばむ季節なのに無理やり腕を隠して会社へ向かった。
ムダ毛処理の失敗はこれだけではなかった。
忙しさにかまけて自己処理を雑にしていたせいか、剃刀負けで肌がヒリヒリしたり、小さく赤いプツプツができたりすることも増えた。
最初は市販のアフターケアクリームを塗ってごまかしていたが、埋没毛や毛穴の黒ずみなど、まるで負の連鎖のように悩みが次から次へと増えていく。
特に腕や脚だけでなく、脇やビキニラインの処理には慎重にならざるをえず、作業時間がどんどん伸びてしまう。
夜、お風呂でムダ毛を処理しようと思っていても、残業で帰宅が遅くなるとつい疲れてしまい、そのままベッドに倒れ込んでしまうこともしばしば。
朝になって「やっぱり今日は処理しなくちゃ」と思っても、出勤時間ギリギリで泣く泣くあきらめることが多い。
そんな日が続くと、肌のトラブルに加えて、「どうして自分はこんなにムダ毛に振り回されているんだろう」という精神的なストレスも大きくのしかかるようになってきた。
友人とカフェでお茶をしているときも、「腕の毛、処理してきたっけ?」と気になってしまう。
デートの約束が入れば、前日や当日の朝にきちんとケアをするようにはしているが、わずかな剃り残しにハッとする瞬間があり、気分が沈むこともしばしば。
「ムダ毛なんて、もう生えてこなければいいのに…」と、ため息混じりに思ってしまう自分がいる。
彩花は、美容情報をチェックするのは嫌いではない。
コスメやヘアケアグッズの新商品はこまめにチェックしているし、時々友人と話題にすることも多い。
しかし、ムダ毛となると話は別。
自分の毛の濃さや肌質を他人に知られるのは恥ずかしいという気持ちが強く、なかなか友人にもオープンに相談できない。
「これ以上、自分だけでどうにかするのは限界かも……」
彼女はひとり悶々と抱え込む日々を過ごしていた。
そんなある日、彩花は自分の中で小さな決意をする。
「ストレスの原因になっているムダ毛、どうにか減らせないだろうか。自己処理をずっと続けるのは無理がある…」。
毎日のように繰り返す剃刀との格闘、そして肌トラブルから解放されたいという願いが、彼女の心の中でじわじわと大きくなっていくのだった。